明石城 ⑤ ー本丸を守る稲荷曲輪ー

本記事では、明石城の稲荷曲輪と桜池について詳しく紹介します!

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前回の記事①

兵庫県明石市、明石駅の目の前に位置する明石城。市街地にもかかわらず、二つの櫓や主郭部の石垣をはじめとする遺構が良好に残ります。明石城はこんなところ明石城は、信濃松本から船上ふなげ城(現明石市新明町[…]

前回の記事②

本記事では、明石城の三の丸と織田家長屋門について詳しく紹介します!基本情報や見どころをまとめた前回の記事はこちら。[sitecard subtitle=前回の記事 url=https://www.masktomo[…]

前回の記事③

本記事では、明石城の二つの櫓と帯曲輪~東の丸外枡形について詳しく紹介します!前回までの記事はこちら。[sitecard subtitle=前回の記事① url=https://www.masktomoe23.co[…]

前回の記事④

本記事では、明石城の主郭部(東の丸・二の丸・本丸)と天守台について詳しく紹介します!前回までの記事はこちら![sitecard subtitle=前回の記事① url=https://www.masktomoe2[…]

稲荷曲輪

本丸の西側に位置する稲荷曲輪。北・東・南に虎口があって、石垣上に土塁が張り巡らされているのが特徴です。

また、かつては北西隅と南西隅に二重櫓がありました。

出典:正保絵図を参考に筆者作成

帯曲輪から稲荷曲輪へ向かいます。

ここから攻め入ろうとする寄せ手は三方の石垣上から攻撃を浴びることに。幅員の狭さも相まって圧迫感がすごい。

天守台から見下ろしたところ。ここを無傷で切り抜けるのは難しそうですね…

階段を上り切ったところにあったのは、「先ノ門」という高麗門。

稲荷曲輪の全景。稲荷曲輪内でも伐採が実施されていて、曲輪南側と石垣付近には木がほとんどなく快適に見学できます。

右側の石垣上には櫓があったように思えますが、正保絵図には何も描かれていません。もしかすると櫓ではなく番所のような小さな建物があったのかも。

また、坤櫓の左側には排水用の暗渠が二つ。

南西隅にはかつて「正ノ櫓」があって、礎石がいくつか残っています。

下から櫓台を見ると、隅部が凹んでいることがわかります。理由は不明ですが、凹んだ隅部は稲荷曲輪の特徴の一つ。

伐採が進められたことにより、曲輪の三方を囲む土塁の全貌が確認できます。

かつてこの辺りの石垣は鬱蒼とした木々に覆われてほとんど見えませんでしたが、今ではとてもすっきり。

明石市は原則石垣から5m以内の木を対象に伐採を進めていますが、「景観を損ねる」という地元の方の反対もあって現在は一時中断しているようです(2022年6月現在)。文化財保護と景観の保全(伐採することで景観がよくなるという見方もできますが)は両方とも非常に大切な観点ですので、できるだけ多くの方が納得できるような形に落ち着けばいいですね。

こちらにも坤櫓付近と同様に補強石垣が。

本丸石垣の北西隅は綺麗な算木積になっていて、石垣上には「乾櫓」がありました。左側の坂を上ると本丸へ。

曲輪北側の桜池へと通じる虎口は外桝形となっていて、「万ノ門」という櫓門がありました。

本丸から万ノ門を見下ろすと、虎口の構造を立体的に捉えることができます。左側の石垣脇には、櫓門に昇降するための階段が。

南西隅と同様に、北西隅も切り取られて凹んだような形。

稲荷曲輪西面石垣。こちらも木々が伐採されて非常にすっきりしています。

桜池

主郭部と北の丸の間は谷状地形になっていて、そこにあるのが桜池。

広いところでは幅20mにもなり、主郭部の北堀の役割を担っていました。

桜池と本丸石垣を様々な角度から。水面から石垣の上部まではかなりの高さ。

まとめ:近年整備が進む明石城

ここまで紹介してきたように城内各所で木々の伐採が実施され、着々と整備が進む明石城。明石城には期間を開けて数回登城しましたが、行くたびにお城が見やすくなっている印象があります。

是非木々の枯れる冬場に登城して、迫力のある石垣と優美な櫓を間近で見学してください!