【鶴ヶ岡城(山形県鶴岡市)】① 700本もの桜が咲き誇る庄内藩の藩庁

山形県鶴岡市、市街地の中央に位置する鶴ヶ岡城。

現在では桜の名所として知られる庄内藩の本拠地には、市街地でありながら二重の堀がよく残ります。

鶴ケ岡城はこんなところ

鶴ヶ岡城は室町時代初期に武藤長盛によって築城されたのが始まりとされており、築城当時は大宝寺城と呼ばれていたそうです。慶長六(1601)年には最上氏による庄内支配の拠点となり、その2年後に鶴ヶ岡城に改称されました。元和八(1622)年に最上氏が改易されると、信州松代より酒井忠勝が入城して、以降酒井氏が12代・約250年にわたって庄内を治め、幕末を迎えました。

鶴ヶ岡城は本丸を中心としてその周囲を二の丸が取り囲む典型的な輪郭式平城で、城の東西には馬出が設けられていました。現在は本丸と二の丸が鶴岡公園として整備され、堀や土塁、櫓台であった石垣が残されています。

現在は鶴岡公園として整備され、本丸には旧藩主である酒井忠次、酒井家次、酒井忠勝、酒井忠徳が祭神としてお祀りされている荘内神社が鎮座します。また、ソメイヨシノをはじめとする約700本の桜が植樹された桜の名所でもあり、4月上旬〜4月中旬に開催される鶴岡さくらまつり期間中は多くの出店と花見客で賑わいます。

見どころ

桜と水堀が調和した山形屈指の桜の名所

鶴ヶ岡城は本丸堀の大部分と二の丸堀の西側半分が残っており、堀と桜が織りなす見事な景観が楽しめます!

4月上旬〜4月中旬には鶴岡さくらまつりが開催され、期間中は多くの出店でにぎわいます。

庄内藩の基盤を育んだ藩校 致道館

致道館は東北地方に現存する唯一の藩校建築であり、鶴ケ岡城のすぐ南東に位置します。

致道館は庄内藩の士風の刷新と、優れた人材の育成を目的として、酒井家の九代目酒井ただありが文化二(1805)年に創設しました。江戸幕府が朱子学を奨励していた一方で、致道館では古典から直接孔子の教えを学ぶらいがくを教学としていた点がユニークです。

表御門や講堂、聖廟が現存しており、国の史跡に指定されています。

現在は一般に公開されており、なんと内部まで無料で観覧することが可能です!

庄内の歴史を伝える数多くの建造物

鶴ケ岡城の周りには庄内の歴史や文化を今に伝える建物が多く残っています。

鶴ケ岡城のすぐ西側にある致道博物館には重要文化財に指定されている旧西田川郡役所や旧渋谷家住宅、旧鶴岡警察署庁舎など、貴重な歴史的建築物が移築されています。

旧西田川郡役所(重要文化財)は初代県令三島通庸の命によって、庄内を代表する建築家高橋兼吉によって設計されたルネサンス風の擬洋風建築です。

鮮やかな空色が目を引くこちらの建物は、同じく三島通庸の命によって高橋兼吉が手掛けた旧鶴岡警察署の庁舎(重要文化財)です。

庁舎二階のテラスからは桜が彩る鶴ヶ岡城と美しい月山を眺めることができました。

豪雪地帯の多層民家である旧渋谷家住宅(重要文化財)。県内有数の豪雪地帯であるむぎまた(月山の西麓)からここ致道博物館に移築されたものです。

内部は四層になっており、二階まで上がることができます。こういった多層住宅の上層階まで上がってみることができるのはとても珍しい気がします。

旧渋谷家住宅の裏手には酒井氏庭園がありますので、こちらもお見逃しなく。

最後は鶴ヶ岡城の東側に位置する鶴岡カトリック教会を訪ねました。堂々たる佇まいの教会は天主堂(重要文化財)と呼ばれ、一般の観光客でも内部を拝観することができます(毎週日曜日はミサのため、午前中は見学できない時間帯があるそうです)。

教会内にお祀りされている黒いマリア像は世界的にも珍しく、国内ではここでしか見られないそうです。

今回は時間がなく訪れることができませんでしたが、ご紹介した建造物のほかにも鶴岡市内には旧風間家住宅など見所があるスポットがたくさんありますので、鶴ケ岡城に訪れた際にはぜひ周辺を散策してみてください。

桜を楽しみ、鶴岡の歴史と文化に触れる

お城としての遺構はそれほど残っているわけではありませんが、致道館や致道館博物館などお城の周囲には鶴岡の歴史や文化に触れることができる様々なスポットが点在しています。また、城内を彩る桜は圧巻ですので、ぜひ春に訪れてお花見がてらお城めぐりをされてみてはいかがでしょうか。

「鶴岡駅」から徒歩30分ほどと少し距離がありますので、電車でお越しの方は駅からバスのご利用がおすすめです。お車でお越しの場合は、お城の東側にある市役所の駐車場をご利用ください。

次の記事では、鶴ヶ岡城と致道館を詳しく紹介します。

基本情報

  • 別名
    大宝寺城
  • 所在地
    山形県鶴岡市馬場町4−1
  • 文化財指定
    国の史跡(致道館)
    国の名勝(三の丸庭園)
  • アクセス
    JR羽越本線「鶴岡駅」より庄内バス「湯野浜温泉」/「温海営業所」行きで「致道博物館」下車すぐ
  • 駐車場
    市役所の駐車場などをご利用ください/無料
  • 入城時間
    散策自由
  • 入城料
    無料
  • 日本100名城スタンプ設置場所
    庄内神社社務所(押印可能時間:9時~17時)
  • 御城印販売場所
    庄内神社社務所(購入可能時間:9時~17時)
  • 所要時間
    約45分/じっくり見学する場合は約90分
  • トイレ
    二の丸・本丸にあり
  • 関連遺構
    致道館・酒井氏庭園

 

参考
致道館のパンフレット
鶴岡観光ナビ 最終アクセス2024年4月29日