奈良県宇陀市、室生寺のさらに奥に佇む室生龍穴神社。
山深くの境内とご神体の「吉祥龍穴」は神秘的な雰囲気に包まれています。
室生龍穴神社はこんなところ
創建に関しては明らかではありませんが、古来より吉祥龍穴は雨乞いの儀式を行う地であったようです。延長五(927)年に朝廷に献上された『延喜式』に式内社として記載されており、御祭神は空海が招請したとされる善如龍王でした。現在は『古事記』や『日本書紀』の水の神である高龗神を御祭神とします。
また『古事談』によると、興福寺(奈良市)の猿沢池に棲んでいた龍王が采女(後宮の女官)の身投げを忌み、春日奥山に移り棲みましたが、そこにも死骸が捨てられたため室生龍穴に移り棲んだと伝わります。
(室生寺発行の冊子より)
女人高野として有名な室生寺の東に位置し、その室生寺と密接な関係があったとされる室生龍穴神社。現在は神社とそのご神体である「吉祥龍穴」がパワースポットとしてにわかに人気を集めています。
秋祭りでは御幣をかかげ、室生寺にある天神祠と龍穴神社をお渡りをして、御幣と鈴を持った雄獅子と雌獅子が舞を奉納します。
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境内を散策する
神秘的で幽玄な境内
境内には背丈が高いたくさんの杉の木が立ち、外界と隔絶されたような神秘的な空気に包まれています。
鳥居の手前に立つ二本の杉の大木は樹齢600年以上にもなるそうです。
幽遠な雰囲気が漂う境内ですが、実際の広さはそれほどでもなく、拝殿と本殿、社務所が立つばかりです。
石鳥居のすぐ右手には根元が一体化した「連理の杉」とよばれる二本の杉があります。古くよりその形状から夫婦・家庭円満、さらには家運隆盛のご利益があるとして信仰を集めてきました。
拝殿には「善如龍王社」と記された扁額が掛けられており、かつて善如龍王をお祀りしていた名残が感じられます。
拝殿と本殿は少し距離があり、拝殿から本殿へと参道がつづいていますが、一般の参拝客は立ち入ることができません。
春日造の本殿(県指定文化財)は、社殿の内側に「若宮社」の墨書があり、寛文十一(1671)年に当地で「ハシラタテ」を行った旨の記述があることから、春日大社の寛文の造替の一代前に当たる、慶安五(1652)年に造営された春日若宮神社の旧本殿であると考えられています。
(宇陀市ホームページより)
龍が棲む吉祥龍穴
龍穴神社と吉祥龍穴は少し離れたところに位置しており、一度境内を出て車道を5分ほど歩くと龍穴へ続く林道の入口につきます。龍穴へはここから片道20分ほどの行程です。
また、林道は舗装されていますので車で向かうことも可能です。
道中には天照大御神が身を隠したという「天岩戸」が鎮座します。天岩戸は日本各地に存在しますが、室生龍穴の近くにある岩戸もそのうちの一つです。
二つに割れた大きな岩にしめ縄が巻かれています。
天岩戸から5分ほど歩くと左手に見える石鳥居が龍穴の入口です。
谷を隔てた龍穴の手前には遥拝所があり、ここから龍神にお詣りします。なお、遥拝所は土足禁止ですのでご注意ください。
正面に見える洞穴こそが龍王が棲むといわれる吉祥龍穴です。あたりは神聖な雰囲気に包まれ、まさに「心が洗われる」という表現がぴったりな場所です。
室生には吉祥龍穴を含めた三つの龍穴と六つの岩屋(九穴)、五つの縁と三つの池(八海)があり、それぞれに伝説が残されています。
先ほどご紹介した天岩戸も六つの岩屋の一つに該当します。
まとめ
神秘的な雰囲気が漂い、心洗われる体験ができる室生龍穴神社と吉祥龍穴。室生寺からは1kmほどの距離ですので、お詣りの際はぜひ室生寺にも立ち寄ってみてください。
バスでお詣りされる方は、まず「室生龍穴神社」行きのバスに乗車して終点で下車、神社にお参りした後に吉祥龍穴に足を運び、帰路で室生寺にお詣りするという行程がおすすめです。
お車でお越しの方は、境内前の駐車場をご利用ください。吉祥龍穴も車で訪れることが可能ですが、龍穴までの林道は幅員が狭いため、待避所以外でのすれ違いは困難です。
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基本情報
- 正式名称
室生龍穴神社 - 所在地
奈良県宇陀市室生1297 - 指定文化財
本殿(県指定文化財) - アクセス
近鉄大阪線「室生口大野駅」から奈良交通バス44系統「室生龍穴神社」行きで「室生龍穴神社」下車、徒歩すぐ - 駐車場
場所 台数 料金 室生龍穴神社 境内前にあり 約20台 無料 吉祥龍穴 入口付近に駐車可 約5台 無料 - 拝観時間
境内自由 - 御朱印
可/室生寺入山受付近くの納経所にて - 所要時間
約15分(吉祥龍穴まで徒歩で往復した場合約1時間)
参考
室生寺発行の冊子
宇陀市ホームページ 最終アクセス2024年10月19日