本記事では、竹田城の平殿～南千畳について詳しくご紹介します！
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平殿
平殿は本丸を取り囲むように配され、本丸・三の丸・南二の丸・花屋敷と各方面の曲輪へアクセスすることが可能です。
曲輪の東側は立ち入りできないため間近に見学することができませんが、南側を固める石塁の形状が大変特徴的です。
一度三の丸まで戻り、平殿へ向かいます。
平殿からは本丸石垣の「反り」を間近に見学することができます。崩落防止のための防護ネットが少し邪魔ですが、万が一崩落してしまうと元も子もないので致し方ないですね。
花屋敷
現在は立ち入ることができませんが、類例が少なく大変希少な「鉄砲狭間」を有する石塁があります。
花屋敷へつづく通路に設けられた食い違い虎口。三の丸西虎口と同様に、ここには櫓が立ち、天井の低い穴倉になっていたと予想します。
曲輪の左右にある石塁の凹んでいる箇所が鉄砲狭間です。将来的な花屋敷の公開を検討していると係の方が仰っていたので、その日を楽しみに待ちたいと思います。
南二の丸
虎口の手前に櫓台を並べて防御性を高める独特の構造と、城の玄関口を思わせる立派な造りの南二の丸虎口が見どころです。
平殿と南二の丸を隔てるのは簡素な造りの坂虎口であり、ここでの防衛は想定されていなかったように見受けられます。
平殿の下に配された櫓台は、通路を折り曲げることで寄せ手の侵入を阻むとともに、複数方向からの攻撃を可能にします。
その先にはもう一つ櫓台が設けられており、手前の櫓台と同様の役割を果たしていたと考えられます。
通路が立て続けに二回折り曲げられる構造は三の丸と同じであり、その先の簡素な虎口を経て次の曲輪へつながるところまで瓜二つです。
食い違い虎口自体は珍しい構造ではありませんが、虎口の手前に障害物（櫓台）を設けて防御性を高める構造は竹田城の特徴といえるでしょう。
南二の丸内では瓦の破片が散見され、かつて瓦葺の建物が存在したことが窺えます。
ここまで通過した虎口とは様相が異なる南二の丸虎口。直線的で緩やかな坂道と両脇を固める整った石垣からは、防御施設というより玄関口の雰囲気が漂います。
虎口脇の石垣には鏡石も組み込まれており、この虎口が重要な施設であったことを示唆します。
南千畳
城内で最も広大な曲輪である南千畳。総石垣造りが特徴の竹田城ですが、南千畳の虎口付近には石垣が用いられていない箇所があります。
南二の丸は他の曲輪と比較して明らかに広く、御殿などが立っていたと考えられます。
南千畳からは本丸や二の丸を一望することができ、防御性を高めるための「折れ」や「横矢掛かり」が多用されていることがよくわかります。
元からこのような造りなのか、崩落してしまったのかは定かではありませんが、南千畳虎口のみ石垣が使われていない箇所があります。
最後に南面石垣を眺めながら下山します。石垣周辺は草木がよく刈られているため、大変見学しやすくなっています。
まとめ：史跡保護と観光の両立
2000年代後半に「天空の城」や「日本のマチュピチュ」として急激に知名度が上昇し、その存在が広く知れ渡った竹田城。その影響で多くの観光客が訪れるようになり、史跡保護のため段階を経て現在のような状態へと整備されました。お城好きの方からは現状を残念がる意見も見られますが、将来に向けての保全と観光を両立させるためには止むを得ないように思います。
朝来市は竹田城と生野銀山をのぞくと観光資源に恵まれているとは言い難く、竹田城を観光資源として大々的に売り出す方針は至って自然な流れでしょう。ただ、その中でもう少し史跡保護についても注意深く思慮できていれば…とは考えてしまいます。ただし、近年は保護についても慎重に検討を重ねているようですので、今後よりよい竹田城となることを一人のお城好きとして楽しみにしています！
