【竹田城(兵庫県朝来市)】① 雲海が美しい天空の城

兵庫県朝来市 竹田城
兵庫県朝来市 竹田城
兵庫県朝来市 竹田城
兵庫県朝来市 竹田城

兵庫県朝来市、虎臥山の山頂に築かれた竹田城。

「天空の城」として雲海に浮かぶ絶景が有名ですが、絶景だけではない竹田城の魅力をご紹介します!

竹田城はこんなところ

築城に関しては定かではなく、一説では山名氏と赤松氏の対立が激化した嘉吉年間(1441~1444)に赤松氏に対する備えとして山名方が築城、以降太田垣氏が七代にわたり城主を務めたといいます。天正八(1580)年、羽柴秀長の但馬攻めによって太田垣輝延が守る竹田城は落城し、新たに桑山重晴が城主となります。重晴が和歌山城に転封したのち赤松広秀が城主となりますが、鳥取城下を焼き討ちしたことで家康の怒りを招いて切腹を命じられ、竹田城は廃城になりました。

標高353.7mの虎臥山の頂に、本丸を中心として北方向へ二の丸・三の丸・北千畳、南方向に南二の丸・南千畳、西方向に花屋敷がそれぞれ配されています。城の周囲の山中には竪堀や井戸、登り石垣といった遺構が残っており、北の峰に観音寺山城、東麓には居館跡が存在します。

縄張り図は以下の通りです。

兵庫県朝来市 竹田城 縄張り図
出典:筆者作成

現在は隅々まで整備されており、夏場でも下草はほとんどなく快適に見学することができます。ただし北千畳から南千畳への一方通行で、一部区域は史跡保護のため立ち入り禁止(石垣付近や花屋敷など)とされるなど、見学には一定の制限があります。

見どころ

雲海に浮かぶ竹田城

冒頭で「雲海だけではない竹田城の魅力を紹介します」とは言ったものの、やはり雲海に浮かぶ姿が一番の見どころでしょう。

幸運にも桜と雲海を同時に写真に収めることができたので、そのときの様子をいくつか掲載しておきます。

兵庫県朝来市 竹田城
兵庫県朝来市 竹田城
兵庫県朝来市 竹田城

筆者が登城したのは4月1日で、開城時間は午前8時。そのため、山頂に到着したときには南側の雲が既に晴れていました…

ただ満開の桜と雲海が同時に見られるのは珍しいらしく、この光景を見たときの胸の高まりは今でも鮮明に覚えています。

雲海が見られる条件は以下のとおりです。

時期9月~11月(特に晩秋)
時間明け方~午前8時頃
条件

① 湿度が高く十分な放射冷却があること
② よく晴れていること
③ 前日の日中と当日早朝の気温差が大きいこと(10℃以上)
④ 風が弱いこと

備考

・出現の有無ついては但馬南部や播但連絡道の濃霧注意報が参考になります
・懐中電灯・雨合羽・防寒具などをご持参ください

出典:竹田城公式ホームページを参考に筆者作成

ゴツゴツした自然石を用いた大迫力の石垣!

竹田城は赤松広秀によって総石垣造りへ改修され、比叡山の麓にある穴太あのう(滋賀県大津市)の穴太あのうしゅうによる「穴太あのうづみ」という技法が用いられています。穴太積とは穴太衆によって築かれた「づらづみ」(自然石をそのまま積み上げる様式)のことで、穴太積=野面積ではありません。

兵庫県朝来市 竹田城
兵庫県朝来市 竹田城
兵庫県朝来市 竹田城

加工されていないゴツゴツした石材が積み上げられていることがわかります。

様々な積み方の石垣

竹田城では、様々な積み方の石垣を見学することができます。

兵庫県朝来市 竹田城

一部の石垣の隅部は強度を高めるために細長い石材を長短交互に重ね、短辺の側には角ばった脇石が置かれており、これは「さんづみ」と称します。

参考として掲載した丸亀城の石垣と比較すると、竹田城の算木積は不完全で発展途上であることがわかります。

香川県丸亀市 丸亀城
参考:丸亀城三の丸石垣
兵庫県朝来市 竹田城

一方で、櫓台などの比較的低い石垣の隅部は巨石を利用した「縦石積」になっています。

兵庫県朝来市 竹田城

石材が鈍角に積まれた「シノギ積」。山上という限られた地形を巧みに利用するためか、城内各所でみられます。

趣のある寺町通りと居館跡

竹田城の麓に位置する竹田駅の裏手には四ヶ寺が立ち並ぶ寺町通りがあり、お寺の背後の段丘上には赤松広秀の居館跡も残っています。

兵庫県朝来市 寺町通り
兵庫県朝来市 寺町通り

常光寺には初代城主太田垣光景の供養塔、法樹寺には最後の城主赤松広秀の供養塔が鎮座します。

兵庫県朝来市 太田垣光景の供養塔
兵庫県朝来市 赤松広秀の供養塔

台風の土石流によって甚大な被害を受けた居館跡ですが、保存・修復工事が施されており、石垣の一部が見学できます。

兵庫県朝来市 赤松広秀居館跡
兵庫県朝来市 赤松広秀居館跡

絶景だけではない竹田城

竹田城はその絶景が注目されがちではありますが、絶景だけが見どころではないということを少しでも知っていただけると幸いです。

山頂という立地上天候によっては登城できないことがありますので、(特に冬季は)お出掛け前に天気予報や竹田城公式ホームページをご覧になることをおすすめします。

公共交通機関をご利用の場合は、最寄り駅である「竹田駅」から徒歩か「天空バス」に乗車して竹田城に向かうことになります。なお、自家用車は山頂まで乗り入れできませんので、麓の「城下町駐車場」か「まちなか駐車場」、あるいは「山城の郷の駐車場」に駐車のうえ、徒歩か天空バスをご利用ください。

天空バスは、「JR竹田駅」→「山城の郷」→「竹田城跡」→(「まちなか駐車場」)→「JR竹田駅」の順に周回しており、「竹田城跡」から入山受付までは徒歩10分ほどです。運行情報は全但バスのホームページをご参照ください。

往路は竹田駅から天空バスで向かい、復路は歩きやすい駅裏登山道経由で下山のうえ、寺町通りと居館跡を散策されるのがおすすめです!

下記にそれぞれの距離とおおよその所要時間をまとめておきましたので、参考にしてください。

兵庫県朝来市 竹田城 アクセス

次の記事では、山麓の寺町通り・居館跡と竹田城までの登山道について詳しく紹介します。

次の記事

本記事では、山麓の寺町通り・居館跡と竹田城までの登山道について詳しくご紹介します!基本情報や見どころをまとめた前回の記事はこちら。[sitecard subtitle=前回の記事 url=https://www.[…]

基本情報

  • 別名
    とらふすじょう
  • 所在地
    兵庫県朝来市和田山町竹田古城山169
  • 指定文化財
    国指定史跡
  • アクセス
    1. JR播但線「竹田駅」から徒歩約35分、または「天空バス」を利用
    2. 自家用車は山頂まで乗り入れ不可
      山腹または麓の駐車場に駐車のうえ徒歩、または「天空バス」を利用
  • 天空バス
    運行情報は全但バスのHPをご参照ください
  • 駐車場
     台数料金
    山城の郷駐車場100台無料
    竹田城下町観光駐車場150台無料
    竹田まちなか観光駐車場60台無料
  • 入城時間
    期間入城時間
    3月1日~5月31日8:00~18:00(最終登城17:30)
    6月1日~8月31日6:00~18:00(最終登城17:30)
    9月1日~11月30日4:00~17:00(最終登城16:30)
    12月1日~翌1月3日10:00~14:00(最終登城13:00)
    1月4日~2月末入城できません
  • 入城料
    高校生以上500円/団体(20人以上)450円
  • 日本100名城スタンプ設置場所
    スタンプ設置場所押印可能時間休業日
    竹田城料金所竹田城入城可能時間と同じ1月4日~2月末
    山城の郷9:00~16:00年中無休
    わだやま観光案内所9:00~17:00(4月~11月)
    9:00~16:00(12月~3月)
    12月29日~1月3日
    情報館 天空の城9:00~17:00(4月~11月)
    9:00~16:00(12月~3月)
    12月29日~1月3日
  • 御城印販売場所
    御城印販売場所購入可能時間休業日
    竹田城料金所竹田城入城可能時間と同じ1月4日~2月末
    情報館 天空の城9:00~17:00(4月~11月)
    9:00~16:00(12月~3月)
    12月29日~1月3日
  • 所要時間
    約45分/じっくり見学する場合は約1時間
  • トイレ
    料金所にあり
  • 関連施設
    立雲峡
    環境整備協力金:高校生以上300円/団体(20人以上)250円
    展望台駐車場からの距離駐車場からの時間
    第三展望台100m約5分
    第二展望台220m約10分
    第一展望台810m約30分
  • 関連遺構
    観音寺山城跡、居館跡、大田垣光景供養塔、赤松広秀供養塔

 

参考
朝来市発行のパンフレット
竹田城公式ホームページ 最終アクセス2025年1月3日