【2022年木津川市 春の特別公開】

木津川市では、GWを中心とした春季と11月上旬の土日祝を中心とした秋季に特別公開が実施されています。公開を実施する寺院や日時は様々なので、木津川市観光協会のオフィシャルサイトを参照してください。今回特別公開が実施されたのは、浄瑠璃寺・岩船寺・蟹満寺・海住山寺・現光寺大智寺・西念寺です。

特別公開を実施していた蟹満寺・大智寺・西念寺に加えて、神童寺と鹿背山城を訪問したので、そのレポートを掲載します。

 

棚倉駅周辺を歩く

JR棚倉駅

この日はJR奈良線棚倉駅よりスタート。

棚倉駅はJR京都駅より普通列車で約1時間、JR奈良駅より約15分。電車は1時間に2本で、みやこ路快速は停車しません。

駅前には蟹満寺のモニュメントがありました。学生時代に古文で「今昔物語」を読んだなあ、という方も少なくないのでは。

蟹満寺は後にして、先に神童寺に向かいます。駅を出て北に向かうと蟹満寺、南に向かうと神童寺。

湧出宮

 

最初に訪れたのはわきでのみや。棚倉駅の前に石鳥居と参道入口があります。

湧出宮というのは通称で、正式名称は「にいますあめ神社」。御祭神を天平神護二年(766)に伊勢の国から当地へと遷地したときに、一夜にして森が湧き出しこの一帯が神域と化したといいます。それを見たこの辺りの人たちがその御神徳を称えて湧出宮と呼称したそう(現地案内板より)。

また、湧出宮の宮座行事は重要無形民俗文化財に指定されています。

境内全体が森となっていてとても雰囲気がよく、新緑と陽の光のコントラストが美しい。

表門(市指定文化財)

緑に覆われた参道と表門を抜けて境内へ向かいます。

御神馬
拝殿(左)・本殿(右)
幣殿(左/市指定文化財)・本殿(右/府登録有形文化財)

拝殿は桟瓦葺切妻造で、本殿は銅板葺の三間社流造となっています。本殿の薄れてしまった彩色がいい雰囲気を出しています。

神童寺へ

線路沿いの通りから神童寺への道へ入ってしばらく歩くと、田園風景が広がっていて水の流れる音がとても心地よかったです。

神童寺は棚倉駅より徒歩約35分。

腰折れ地蔵

 

神童寺から500mほど手前にある腰折れ地蔵。

腰のあたりで(正確には胸のあたりですが)割れていているのがその所以です。

北吉野山 神童寺

神童寺については以下の記事で詳しく紹介しています!

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蟹満寺へ

棚倉駅まで戻って、蟹満寺へ向かいます。蟹満寺へは棚倉駅より徒歩20分ほどです。

不動川を渡って北へと進む。不動川は天井川になっています。

普門山 蟹満寺

蟹満寺については以下の記事で詳しく紹介しています!

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上狛駅から鹿背山まで歩く

JR上狛駅

棚倉駅より木津駅方面に一駅の上狛駅で下車。まずは泉橋寺へ向かいます。

玉龍山 泉橋寺

 

表門(市指定文化財)

上狛駅より南へ徒歩約10分、木津川の畔に位置するのが泉橋寺。

泉橋寺は泉大橋を管理するために、行基によって橋と合わせて建立されました。境内の拝観はできませんが、門前の地蔵尊と重要文化財の五輪塔を見学することができます。

像高4.58mの巨大な石造地蔵菩薩坐像は徳治三年(1308)に造立されました。当初は地蔵堂に祀られていたようですが、応仁の乱によりお堂が焼失して以降は露座となっています(現地案内板より)。

応仁の乱の戦禍で失われた頭部・両腕は元禄三年(1690)に補われました。像の周囲には地蔵堂の礎石が残ります。

境内
五輪塔(重要文化財)

高さ2.36mの五輪塔は、平重衡の南都焼き討ちによる犠牲者を供養するため室町時代に建立されたものです。

木津川・泉大橋

木津川を渡って大智寺へ向かいます。

行基が架けた橋が泉大橋の始まりで、現在の橋は日本百名橋に選ばれています。

橋柱山 大智寺

大智寺については以下の記事で詳しく紹介しています!

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御霊神社

 

大智寺から徒歩7分ほどのところにある御霊神社。

天平年間(729~749)、聖武天皇が各地に国分寺・国分尼寺を建立した際に、この地に建てられた国分尼寺の守り神として橘諸兄によって造営されたと伝わります(現地案内板より)。

宮座・拝殿

本殿は銅板葺の一間社流造で、府暫定登録文化財に登録されています。中央の砂を盛った山は、神様の降り立つ「立砂たてすな」。

鹿背山 西念寺

御霊神社から徒歩約25分で西念寺へ。

西念寺については以下の記事で詳しく紹介しています!

鹿背山城

畝状竪堀

西念寺の前の道を進むと、数分で城の入り口へ至ります。

鹿背山城については以下の記事で詳しく紹介しています!

まとめ:一足伸ばして南山城へ

木津川市を含めた南山城地域には、今回紹介したスポット以外にもたくさんの見どころがあります。また、長閑で美しい田園風景、穏やかに流れる木津川、谷間や丘陵に広がる茶畑など様々な景色が楽しめます。

京都市からは少し距離がある京都府の最南端に位置していますが、一度足を運んで新たな京都の一面を発見してください!