【結縁寺(千葉県印西市)】秘仏不動明王と彼岸花

千葉県印西市、のどかな里山に位置するけちえん

本堂には鎌倉時代作の銅造不動明王がお祀りされ、毎年9月28日に開扉されます。

結縁寺はこんなところ

神亀年間に全国を歴遊していた行基がこの地の小堂に逗留したときに自ら阿弥陀三尊を彫刻し、一堂を建立したのが結縁寺の始まりであると伝わります。

『結縁寺由来記』によると、天慶年間に当寺に住んだ真言僧が京都醍醐寺の末寺や地域の民衆を広く対象として結縁灌頂を厳修し、このことが結縁寺という寺号の由来となったと伝わります。当時は結縁寺に安養坊、住持坊、山中坊、瀧本坊、台仙坊、梅本坊という六坊が存在し、現在でも地名が残ります。

天正年間の火災で什宝縁起など灰燼に帰しましたが、不動明王は難を逃れ、現在までご本尊としてお祀りされています。
(現地案内板より)

付近は千葉ニュータウンとして開発の波が迫りますが、お寺の周辺は森に囲まれ、どこか懐かしい里山の風景が広がります。こじんまりとした境内には本堂と大師堂、庫裏が立ち、蓮や彼岸花、イチョウやコスモスなど季節の花が彩りを添えます。

また、結縁寺には源頼政に纏わる逸話も残されています。彼の家臣が治承の乱で自害した頼政公の首をこの地に葬り、剃髪して僧となり、主の菩提を弔ったというものです。正保年間には、結縁寺の領主となったキリシタン奉行井上筑後守が頼政公供養のために五輪塔を奉納しました。

ご本尊の不動明王は一年に一度、9月28日の午後に行われる護摩焚きに合わせて開扉されます。

小柄ながら力強い不動明王

結縁寺の門前には蓮池が広がり、参道脇には彼岸花が植えられるなど四季折々の花が楽しめるところも結縁寺の魅力の一つです。

例年は護摩焚きが行われる9月28日ごろに彼岸花が花を咲かせるそうですが、2024年は夏の猛暑のためか開花が遅く、ほとんどが蕾のままでした。

参道脇の蓮池には所狭しと蓮が植わっており、蓮が開花する夏にはまた違った景観が楽しめそうです。

傾斜が大きく、赤い屋根の山門が結縁寺の目印。緑に包まれた空間の中では目立つ存在ですが、不思議と周囲の風景と調和しています。

山門をくぐると向かって右手に衣装を身につけた地蔵石仏と手水舎が立ち並びます。

本堂は銅板葺入母屋造の建物であり、平成十七年に再建されたものです。お詣りされていた地元の方によると、普段はお堂の扉が閉まっているそうです。

  • 不動明王立像
    銅造、像高47cm、嘉元元(1303)年、重要文化財

ご本尊は堂内中央の厨子にお祀りされており、拝観時には厨子のすぐ目の前まで近づいて明るい照明の下で拝観することができます。

裳の表面に「嘉元元年卯月九月十五日願主権律師瀧尊」と造立年代が明らかな銘が刻まれており、三鈷剣や羂索といった持物や光背と磐座、目や牙の金泥は後補ですが、鎌倉時代末期の基準となる貴重な作例です。

不動明王をより注意深く眺めてみるといくつかの特徴が確認できます。

まず頭頂部から出ているほぞですが、これは失われた蓮華の名残です。また、胸元の鋲穴は胸飾りを留めた跡、像表面の荒れは火災の痕跡と考えられています。

不動明王が納められている厨子の左右には数多くの小さな仏像が安置されています。

本堂の右手には印西大師第四十六番札所の大師堂が鎮座します。

まとめ

開発が進む都市部近郊にありながら里山の雰囲気が感じられ、四季の花々が彩る景観を楽しむことができる結縁寺。ご本尊の不動明王は秘仏であるため普段は拝観することができませんが、毎年9月28日の護摩焚きに合わせて開帳されるため、当日に限り拝観が可能です。

具体的な開扉時間は定められてはいないようですが、13時に開始される護摩焚きの少し前から開扉され、護摩焚き終了後は参拝客が途切れると閉扉するそうです。そのため、不動明王の拝観をご希望の方は12時半~14時半を目途にお詣りするとよいかと思います。

最寄り駅の「千葉ニュータウン中央駅」からは徒歩35分ほどと少し距離がありますので、バスのご利用がおすすめです。駅から最寄りのバス停である「高花団地」までは概ね1時間に2本バスがあり、バス停からは徒歩5分ほどです。また、境内横に駐車場がありますが、

結縁寺池と弁財天をお祀りする祠

基本情報

  • 正式名称
    晴天山結縁寺
  • 所在地
    千葉県印西市結縁寺516
  • 宗派
    真言宗豊山派
  • 指定文化財
    重要文化財(銅造不動明王立像)
  • アクセス
    J北総線「千葉ニュータウン中央駅」からちばレインボーバス「高花」行きで「高花団地入口」下車、徒歩5分
  • 駐車場
    境内横にあり/約5台/無料
  • 入山時間
    境内自由
  • 御朱印
    可/庫裏にて
  • 所要時間
    約10分
駐車場

参考
現地案内板